• UPDATE

門幕(かどまく) 門幕(もんまく) 神前幕 玄関幕 陣幕 幔幕

門幕(かどまく) 門幕(もんまく) 神前幕 玄関幕 陣幕 ルーツより

「門幕(かどまく/もんまく)」や「神前幕(しんぜんまく)」のルーツは、結界や区画を設けるために使われた古代の布にさかのぼります。

歴史的な背景からいうと縄文時代から仕切る布として存在していたと言われれています。

実際、縄文時代の遺跡(福井県鳥浜貝塚など)からは、麻の繊維で作られた縄や布が見つかっています。

奈良時代・平安時代になると「幔(まん)」と「几帳(きちょう)」に使われました。

幔(まん): 平安時代、布を縦に縫い合わせたものを「幔」と呼んでいました。これは、野外での行事や、屋内で空間を仕切るための、今でいう「幕」の原型のようなものです。身分の高い人がいる場所を他から隔てるために用いられました。
平安時代には、縦縫いの「幔」と横縫いの「幕」という言葉の使い分けがありましたが、次第に混同されていきました。このことから、すでに平安時代には「幕」という言葉が、布を垂らして空間を仕切るもの全般を指すようになっていたことがうかがえます。
松岡映丘「今昔物語 伊勢図」
上図:松岡映丘「今昔物語 伊勢図」

『源氏物語絵巻』: 平安時代の貴族の生活を描いたもので、幔や几帳(きちょう)など、調度品として布製品が使われている様子が描かれています。
『年中行事絵巻』: 年中行事の様子が描かれており、儀式などで幔幕が使われている場面が見られます。

余談となりますが、幕府の幕という文字もこの幕が由来であったと考えられています。

幕府という言葉が使われた時代
「幕府」という言葉は、主に以下の3つの武家政権を指して使われます。 
鎌倉時代(1192年頃 – 1333年): 源頼朝が征夷大将軍に任命され、鎌倉に開いた武家政権を「鎌倉幕府」と呼びます。
室町時代(1338年 – 1573年): 足利尊氏が京都に開いた武家政権を「室町幕府」と呼びます。
江戸時代(1603年 – 1868年): 徳川家康が江戸に開いた武家政権を「江戸幕府」と呼びます。 
ただし、現代のような意味で「幕府」という言葉が定着したのは江戸時代後期からとされており、鎌倉・室町時代当時は、武家政権を指す言葉として「幕府」はあまり使われていませんでした。 

「幕府」という言葉の語源は、古代中国にさかのぼります。
語源: もともと「幕府」とは、戦場に派遣された将軍が、本陣に幕を張って政務や指揮を執った場所を意味します。
中国の古典: 中国の『史記』や『漢書』といった文献に、将軍の陣営を指す言葉として「幕府」が登場します。
日本の律令制: 日本では、律令制のもとで遠征軍の司令官(征夷大将軍など)が本陣に設けた陣営を「幕府」と呼ぶようになりました。
『平家物語』: 平家が政権を握っていた六波羅探題を「六波羅幕府」と呼ぶ文献もあり、将軍の陣営が転じて政権そのものを指すようになった流れがうかがえます。 
これらのソースから、将軍が幕を張った陣営が、やがて将軍が統治する政権全体を指す言葉へと変化していった経緯がわかります。

上記のように将軍がいる政府を幕府と呼び、外と内をわけるような使い方がその意味に込められていると言えるでしょう。

歌川広重「東海道五拾三次之内 関 本陣早立」
上図:歌川広重「東海道五拾三次之内 関 本陣早立」

「幕」という漢字が単なる「布」という意味を超えて、「聖と俗」「内と外」「権威と服従」を分ける境界線(結界) として機能してきた歴史は非常に興味深いものです。
タダの布ではない暖簾とも共通する部分が伺えます。※参考:どんなのれんが作りたいか?は早く考えるべき。

それではそれぞれ個別に見ていきましょう。

陣幕(じんまく)

起源: 神前幕のルーツとされるのが、戦国時代の武将が野営地で用いた「陣幕」です。
目的: 陣幕は、敵からの視線を遮る、風を防ぐ、そして武将のプライベートな空間を確保するために使われました。
発展: この陣幕が、神事や儀式を行う際に神聖な場所を区切るための道具として応用されるようになり、神前幕へと発展したと考えられています。 
『関ヶ原合戦図屏風』:関ヶ原の戦いを描いた屏風絵には、各大名の本陣を囲むように、それぞれ異なる家紋の入った陣幕が何重にも張り巡らされている様子が描かれています。
『長篠合戦図屏風』:織田・徳川連合軍と武田軍の戦いを描いた屏風絵にも、武将たちの本陣に陣幕が設置されている描写が見られます。
陣幕イメージ

神前幕(しんぜんまく)

役割: 「神様のいる神聖な領域」と「人間が暮らす俗世」をはっきりと区別する境界として、主に神社や寺院、神棚で用いられるようになりました。
様式: 伝統的に藍色や紺色、白色を基調とし、そこに神紋などが染め抜かれています。また、魔を祓う力があるとされる高貴な紫色が使われることもあります。
歴史的証拠: 明確な「神前幕」の史料は限定的ですが、戦国時代の合戦を描いた絵巻物などには、陣幕が描かれており、当時の幕の使用状況をうかがい知ることができます。
さらに、江戸時代以降になると、神具を取り扱う専門の職人によって神前幕が製作されるようになり、当時の道具や記録からその存在が確認できます。 
横幅が大きなサイズのものが多く、幕の下部分は耳活かし(耳生かし)(ポリエステルならヒートカット)仕上げが一般的な仕様となります。

神前幕イメージ

 

門幕(かどまく/もんまく)

起源: 門幕は、家の門や玄関にかけて、格式や家紋、あるいは祝い事を表すために使われてきました。
役割: 家の入り口を飾ることで、その家の身分や慶事の意を示し、外部からの視線を遮る役割も担いました。
現代の証拠: 現在でも、お祭りや正月、結婚式などの特別な行事で門や玄関に幕をかける風習が残っており
門幕の文化が現代にまで継承されていることを示しています。
デザインとしては横に二分された二色のデザインが多く、綺麗にまっすぐな直線になるよう
上と下を別で染色し、仕上げに縫い合わせる仕様が一般的です。
こちらも神前幕と同様大きなサイズが多い為、幕の下部分は
耳活かし/耳生かし(ポリエステルならヒートカット)仕上げが多いです。

神前幕や門幕の真ん中に紐(房紐(揚巻房))を通し縛ることであの独特な形になります。

門幕イメージ

房紐(揚巻房)

魔除け・厄除け: 揚巻房の結び方には「入型」と「人型」の2種類があり、特に「人型」の結び目は「人」という文字に似た形になります。
これは、危険や不幸が入ってこないようにとの願いが込められており、魔除け・厄除けの意味があるとされています。
格式と荘厳さ: 神社仏閣の幕や御簾(みす)などに使われることで、その場所の格式を高め、神聖で荘厳な雰囲気を演出します。
結界の象徴: 幕自体が神聖な空間と俗世を分ける「結界」の役割を果たすため、その幕に取り付けられる揚巻房もまた、その結界を強調する意味を持ちます。
実用性: 神社幕や玄関幕などの幕を中央で手繰り寄せる際に使用するという実用的な役割もあります。
弊社では「入型」にて対応しております。「人型」がご入用の方は一度お問い合わせくださいませ。
房紐の「入型」と「人型」の違いイメージ

ぶっちゃけそのルールってあるの?

正直ないです。

ただのれんは結界という意味で使われていたお正月やお祭り、あるいは慶事などの特別な行事があるときに、家の格式や行事の趣旨を示すために使われます。

昨今では暖簾の代わりに使われるケースも多く特に問題ありません。

どちらからというとのれんは、お客様や関係者に使われるもの、幕は、神が宿るものという認識は昔あったとは思いますが、今ではもうないと思います。
お客様は神様です。とかいうのもフレーズになっていますからね!

その他 鯨幕紅白幕浅黄幕なんていうのも馴染みが深いのではないでしょうか?

ただどれも実はまっすぐな1枚布だということ。用途は違えど「聖と俗」「内と外」「権威と服従」を分ける境界線(結界)として使われているというのは間違いないでしょう。

やはり手染めが多いの?

京都では神事祭りの期間に使われることは多いので、そう行った神事の時は手染めが多いです。

昨今はポリエステルの門幕(かどまく) 門幕(もんまく) 神前幕 玄関幕 陣幕も増えております。これは店舗様で防炎加工が必須とされるケースが多く、
天然素材は一度洗濯すると再防炎しないといけない生地も多いという関係があります。

また手染めの門幕(かどまく) 門幕(もんまく) 神前幕 玄関幕 陣幕はチチ部分に紙の台紙的なものを入れる場合も多く(張りを持たせるため)そういった場合簡単に手洗いできない事情もございます。

お客様がこれだと思われるのが一番正解だと思います。そのようにお伝え頂ければご指示通りのれん製作しますので、遠慮なくご指示ください。あなたの為にできることを考え続ける京都のれん株式会社でした。

関連記事

  1. 麻風スラブ

    ポリエステル素材透け感があるのれんを作りたい

  2. のれんの歴史

  3. 環境にやさしいペットボトル再生繊維ののれん作りませんか?

    環境配慮したペットボトル再生繊維でのれん製作しませんか?

  4. 生成り生地について

  5. 鹿児島薩摩黒文化に漆黒のアニリン暖簾はいかがでしょうか?

  6. のれんのサイズ

ご来社予約はこちら
既製品のれんのショッピング
オリジナルのれんの見積り依頼
生地見本取り寄せはこちら
よく読まれている記事
最近の記事
  1. 十番ブッチャー(白・生成り)/ のれん用生地
  2. 門幕(かどまく) 門幕(もんまく) 神前幕 玄関幕 陣幕 幔幕
  3. 速乾アサエステル
  4. 防炎シアリエステル
  5. ブランド具現化プラン 30万円〜 (税込)
よくある質問記事まとめ
  1. のれんの歴史

    2018.02.19

カテゴリー
豆知識&用語一覧