絶滅危惧種の暖簾の製作方法

今回は、古くから愛されてきましたがもう既に絶滅の危機が迫っている製作手法についてご紹介致します。

当社では普段ほとんどやらない仕事ではありますが、愛された製作手法だけに
今でもご相談いただく機会はあり、それだけ各々に魅力的な特徴があります。

通常の製作手法と違い、納期は通常と比べて極端に日数がかかり、
ほぼ納期短縮はできませんし、通常のれんと比べて費用も2倍~5倍かかるものもございます。
本染めと同じく、デザインありきでないと製作できるかできないかもわかりません。
お見積もりに関しても、「ざっくり何円~」というものも出せませんので、デザインとともにご相談ください。

 

また、当社でも数名しか内容がわかってない技術となるので、
お問い合わせ頂いてもタイムリーにご返答することができません。
そんな技術ですが、当社でも年数パーセント頼まれる手法となります。

通常の本染めよりも耐光を保ち、色の変化が楽しめる特殊手法

洗濯できる

早見表 通常製作・納期 素材 配色 表現 価格 洗濯
ベンガラ染め 製作期間半年 綿・麻薄い生地限定 色味黄土色からこげ茶のみ可 天然の顔料を使って染める方法

金額のおおよそ4倍程度
(通常のれんに対して)

一切洗濯できない

アニリン染め 本染め+2週間程度 綿・麻 黒のみ 通常の染料よりも色持ちがい

金額おおよそ
1.3倍
(通常のれんに対して)

洗濯できる 他のモノとは洗わず単体で手洗い推奨。

藍染 製作期間3か月※ 綿・麻 藍色の薄い色~濃い色 通常の染料よりも色持ちがいい 藍を枯らすといったように経年劣化を楽しむ方法

金額2.5倍
(通常のれんに対して)

専門の会社のみ洗濯できる

柿渋染め
※通常は独特な匂いがしますが、匂いがしない特殊なものを使っております。
手染め+製作期間3週間 綿・麻 茶色の薄い色~濃い色

通常の染料よりも色持ちがいい 徐々に酸化していき色の変化がする。
基本無地染めか一部だけ染めるか
全面にコーティングする。

金額+1.5倍
(通常のれんに対して)

洗濯できる 他のモノとは洗わず単体で手洗い推奨。

ハイブリット染料 通常の納期 綿・麻 色はある程度
指定可
顔料と染料を混ぜて対応

通常のれん金額

 

摩擦に弱くなるため優しく手洗いのみできる。風合いが若干硬くなるが耐光が良くなる。

正絹 納期3か月 綿 色はある程度
指定可
本染め 通常の綿の金額の3倍

おしゃれ着用の中性洗剤を使用して優しく手洗いできる。絞らずタオルドライ。

 

上記は通常オーダーのれんの費用が3万~5万、納期がおおよそ20営業日を基準として考えた場合です。

何度も言いますがこちらの手法は納期短縮できませんので、予めご了承の上ご相談ください。

上記の製作手法がなぜ廃れてきたのか?

〇製作工程上何度も同じ工程を行う関係で納期がかかる

〇化学染料や顔料といったものが発達し、安価になった。

〇天然の材料を使ったり(重要と供給のバランスで材料設備手配が困難)、熟練した職人しかタッチできない

〇業界に元気がないので常にその仕事の依頼が入っていない

〇費用が高い

 

ものづくりには時間やお金がかかります。
技術の習得が必要ない簡単な仕事は機械でもできます。もちろんaiなどを活用して難しい仕事もAIができるようになっていく世の中ですが、布もの業界全体がそれほど元気がない中で 次第に失われていくといったそんな技術となります。

 

百貨店やネット通販の商品タグをみてください。日本製となっている数は全体の10%以下だと思います。

また暖簾の製作の会社としてこういった技術を発信すると、「とりあえず教えてください」「とりあえず金額ください」といった依頼が多くなるので、あまりしたくない事ではあったのですが、
素晴らしい技術があるのに廃れていくのはもったいない
まず知ってもらって興味をもってもらいたい
という兼ね合いから、この情報をお出ししました。

この記事を参考にしていただき、特殊な手法へのご理解を深めていただけたら幸いです。

 

 

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