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暖簾をオーダーするときによく出る家紋についての話。

今回はのれんの家紋についてのお話しです。

「祇園」か「ネ氏園」どちらが正しい?について吃驚するほどアクセスがあったので
今回は調子にのってのれんの家紋の話をします。
正直のれんページよりもアクセスあってなんでやねんっと内心思っておりますが(笑)

暖簾をオーダーを頂くときに「家紋をつけてほしい」といったお話を頂くことがよくあります。

当社ではこちらの家紋集『家紋入りのれん 暖簾で使う家紋データ集』があるので参考になさってください。

我が家の家紋は「五瓜に唐花」、「三つ鱗」「五三桐」などなど。
口頭でそれをのれんに入れたいと仰られます。

そもそも家紋ってなんなんでしょう?

いつから誕生したのかというと、家紋が誕生したのは、王朝文化が栄えた平安時代(8世紀後半~12世紀後半)の後半とされています。
※参考 日本の家の紋章「家紋」の歴史と特徴 政府広報オンライン

元々は公家など高貴な身分の人のみ使うのが許されていて、戦国時代には戦での敵味方を分ける紋章としても使われてきました。
またその時代は、位がもともと低かった秀吉さんなどの立身出世組にも使うのが許されて、
江戸時代には一般の人たちにも使われてきたと言われています。

ただその時代でも水戸黄門さまの「この紋所が目に入らぬか~」的な文化はあったので権威の象徴として色濃く残っていたと言えると思います。

それから企業のロゴを家紋に使っている例も多く、ブランドの象徴や信頼性などにもつながり現在に至るというながれとなります。

3万以上の種類があると言われていますが、実際は各家に伝わる固有なものとなるので、バランス等異なる家紋を数えると各家の数だけ種類があると言えます。

でここでちょっと考えて頂きたいのですが、8世紀後半~12世紀後半にコピー機ってないですよね?

ということは同じ家紋が各家に伝わったとしてもそれをそのままコピーする技術はなかったのです。

しかもペンや鉛筆もなかったので、筆や刷毛でそれを表現していたことなります。

その時に、そういう仕事をしらべていくと、筆でその字を真似る人の歴史が出てきます。
写経生(しゃきょうしょう) 筆耕(ひっこう)  装潢 (そうこう) 字書き屋 書道家というものがあります。

まぁ要するに全く同じ家紋は書けない(正確な角度やバランスでという意味で)歴史があったということです。また技術的にも作るものによって同じものができないケースも考えられます。

ただそれが悪いという意味ではなく、そうやって代々受け継がれたバランスこそがその人の家紋となり、
始まりのカタチとは異なっていても現在に受け継がれるバランスこそがその家の家紋となります。

※写経生・・・

写経を行う人のこと。写経とは、仏教の経典を写すことで、仏教の教えを広め、仏教の功徳を積むための修行です。写経生は、奈良時代には、写経司という官庁や、東大寺などの官寺の写経所、さらには貴族の家の写経所などで経典の書写に従事していました。写経生は、写経の校正にあたるものは校生、用紙の仕立てや装丁にあたるものは装潢(そうこう)と呼び、経師とはその任務を異にしました。

 

筆耕・・・

筆耕(ひっこう)とは、筆で文字を書いて報酬を得ることや、それを仕事にしている人のことをいいます。 筆耕の歴史は古く、奈良時代から行われていました。当時は、書道が貴族や僧侶の専売特許であり、一般の人々は筆耕を依頼することで、書類や文書を作成していました。 江戸時代になると、筆耕は一般の人々にも広く普及し、筆耕士と呼ばれる職人が現れました。筆耕士は、賞状や卒業証書、宛名書きなどの仕事を請け負っていました。 明治時代になると、印刷技術の進歩により、筆耕の需要は減少しました。しかし、現在でも、筆耕士は、賞状や卒業証書、宛名書きなどの仕事を請け負っています。 筆耕は、書道の技術だけでなく、美しい文字を書くための知識や経験も必要とされる仕事です。筆耕士は、文字を書くことで、人々の生活をより豊かにしています。

 

装潢・・・

装潢は、書画や書物を保護し、美しく見せる目的で行われる。装潢には、表紙、裏表紙、背表紙、表紙の装飾、背表紙の装飾、本の端の装飾など、さまざまな要素が含まれる。

 

字書き屋・・・

筆で文字を書く人のことをいいます。字書き屋は、筆耕士や書家と似ていますが、字書き屋は、文字を書くことを仕事にしている人のことを指します。字書き屋は、賞状や卒業証書、宛名書きなどの仕事を請け負っています。また、字書き屋は、文字を書くことで、人々の生活をより豊かにしています。 字書き屋は、書道の技術だけでなく、美しい文字を書くための知識や経験も必要とされる仕事です。字書き屋は、文字を書くことで、人々の生活をより豊かにしています。

そんな歴史によって十人十色のバランスの家紋が生まれちゃった

そもそも今みたいにパソコンのデータ(イラストレーターのデータのように同じものを作る技術)などなかったので、家紋を表現できる幅も異なってきました。
家の着物の誂えや木箱や風呂敷やお墓などそれぞれで微妙に違うってことも。
そうなっていくと、ちょっとやばくない、バリエーション増えすぎじゃない?ってなりました。

昭和11年〈1936年〉に統一した方がいいとなりまして、著者 京都染物同業組合紋上絵部 編 出版者 京都染物同業組合紋上絵部平安紋鑑刊行部が
家紋の統一規格として、『平安紋鑑』 を発行しました。

『平安紋鑑』と言っても平安時代のものではないのか?って聞かれる方たくさんいらっしゃいますが、
そうですというしか言えないので、そこはご容赦ください。

※国立国会図書館デジタルコレクションに保存されているので参考になさってください。

ということである程度家紋の規格が統一されました。

といってもまだ100年くらい前の話なので家々のお墓など固有の家紋の形があります。

では平安紋鑑の家紋に直すべきか?
伝わっている家紋をそのまま使えばよいか? に関しては

私見になりますが、規格統一前の形が残っているということは、そこに先祖の想いがあるというのが一番かな?と思います。

ですので各々固有の家紋の見本があるようならそれに統一した方がよいと思います。

ただ現存する場合はものによってはバラバラなバランスというのもよくあるケース(お着物・風呂敷・お墓・お盆・木箱・瓦など)なのでこれを機に統一するのも一つの手です。

今後綺麗に残したいのであればイラストレーターのデータ等にしておくと、今後は一つの家紋になります。

お客様がこれだと思われるのが一番正解だと思うので、そのようにお伝え頂ければご指示通りのれん製作しますので、遠慮なくご指示ください。

”あなたの為にできることを考え続ける”京都のれん株式会社でした

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